湯気の向こう側と、秋の味わい(神丘教室)
破田野です。
10月28日、10月もいよいよ終盤ですね。
夜になると一気に冷たい風が吹き抜け、外を歩くときにも身をすくめるほどの寒さが混じるようになってきました。仕事や用事を終えて夜遅くに外へ出ると、本格的な秋の深まりを感じる季節です。
さて、本日10月28日は、和食の味の土台を支える大切な記念日「おだしの日」でもあります。
この記念日は、江戸時代に鰹節の製法(カツオを燻して乾燥させる燻干法)を考案し、現代に続く鰹節の基礎を築いたとされる角屋甚太郎(かどや じんたろう)氏の命日に由来して制定されました。
「だし」といえば、鰹節や昆布、煮干し、椎茸など、日本の食文化には欠かせない旨味の源ですね。
西洋のスープのように肉や野菜を何時間も煮込んで濃厚な味を重ねていく「足し算の文化」に対して、日本の出汁は素材の持つ素朴な風味を静かに引き出し、お互いの良さを引き立て合う「引き算の文化」とも言われています。
昆布に含まれるグルタミン酸と、鰹節に含まれるイノシン酸が出会うことで、旨味が何倍にも強く感じられる「旨味の相乗効果」が生まれるのは有名な話ですが、昔の人々が経験や知恵の中でこの最高の組み合わせを見つけ出し、今日まで大切に受け継いできたと思うと、日本の食文化の奥深さに改めて感銘を受けますね。
夜遅くに冷えた体で帰宅したあと、温かいお汁ものやお鍋の蓋を開けた瞬間に立ち上る湯気と出汁の香りは、疲れた体と心をじんわりと解きほぐしてくれる力があります。
忙しい日々を過ごしていると、食事の時間をゆっくり味わうことや、一口飲んだときのホッとする感覚を忘れてしまいがちです。
ですが、こうした記念日をきっかけに、普段何気なく口にしているお出汁の香りやその優しさにそっと意識を向けてみるのも、秋の夜長ならではの心地よい時間の過ごし方かもしれません。
10月も残りあとわずかとなりました。
夜間の冷え込みが厳しくなり、体の冷えや体調の変化が気になる時期でもあります。
一日の終わりには、お出汁の効いた温かいスープやお鍋などで身体の芯から暖まり、ご家族で穏やかで美味しい秋の夜をお過ごしくださいね。









