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母語と第二言語(神丘教室)

どうも池之内です。

 

肯定証拠と否定証拠という話です。

言語心理学の話になるのかな、分類的には。

 

幼児が母語習得するとき

(日本人の両親から生まれた子どもが日本語を身に付けるとき、ってやつです)

肯定証拠というのがメインの学習です。

 

肯定をベースに日本語を教えていくわけです。

正しい言葉をひたすら聞かせる、言わせる、繰り返させる。

そうやって言葉のシャワー(と例えることがよくあります)を浴びることで、正しい日本語を身に付けていく。

子どもが間違えたことを言っても、親は正しい文を出していく。

 

子どもが「おなかがすいたから、ごはんをたべる」と言ったら、

親は「おなかがすいたから、ごはんをたべたいんだね」とオウム返しをしつつ正しい文を示す。

 

しかし、これが第二言語(ほとんどの日本人は英語ですよね)になると、否定証拠も組み込んで教えていく。

He play soccer every day.

と生徒がやると、先生は「ちがう! 三単現のsがない!」っていう教え方です。

「ちがう!」…、否定ですね。そう、否定証拠で教える。

 

母語習得の際は肯定証拠の方が効果的だとされていますが、

それ以降、言語を身に付ける場合は(達成型バイリンガルになるには、ってやつです)

この否定証拠も使っていくのが良いわけです。

 

要は、

We do not have some cars.

って生徒がやると、肯定証拠の教え方なら「We do not have any carsだね」と正しいものだけを教えて、

否定証拠なら「そうじゃない。notがある否定文だからsomeはanyに変えて」と生徒の答えを否定して教えていく。

 

肯定証拠を繰り返すと、なんでplaysになるのか、なんでanyというのか、が分からないまま。

しかし繰り返し、繰り返し、繰り返し、やっていくうちに「そういうものなんだな」となんとなく理解して、自分の知識になっていく。

で、他の、たとえば後輩が「なんでplaysになるの?」って聞かれても「いやー、そういうもんだよ」としか答えられない。

こういうのを暗示的知識と言います。

 

「田中さんを知っていますか? という文の答えが

…はい、知っています。

…いいえ、知りません。

とのことですが、なんで いいえ、知っていません ではないんですか?」

と外国人に質問されて、日本人が「いやー、なんでだろう…?」ってなるのと同じですね(;^_^

*これ、諸説ありすぎます

 

母語・肯定証拠・暗示的知識、これはリンクしがちです。

一方で、外国語・否定証拠・明示的知識はリンクしやすい。

 

「なんでanyになってるの」→「否定文や疑問文だからだよ」

っていう感じですね。

「なぜ?」に対して明確に理由を答えるための知識、これが明示的知識。

 

で、なんでこんなリンクが起きやすいかというと、

たぶんだけど、外国語を学ぶころには母語で深い思考ができるようになってきているから。

「なぜ?」という知的好奇心をちゃんと満たさないと学習ができない身体になっちゃってるんでしょうね。

…いや、幼児は結構好奇心旺盛ですけどね(;^_^

 

「先生、これってなんでなの?」

「そういうもんだから」

と説明されて納得するのは難しくなっている年頃、って言った方がいいかな。

 

そうすると、学習者も指導者も、ともに否定証拠での学習が基盤になってしまう、ってわけです。

 

この話、長いですね。

またこんど、続きっぽい話をします。では。

2026.03.17 | ブログ , 神丘教室

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